「自分にできる努力 しなくていい努力」和田秀樹
和田秀樹の「自分にできる努力 しなくていい努力」(新講社)を読んだ。
これは、世にいう全くの「自己啓発本」、つまり単純に筆者の経験に基づいて書かれている本なので、まったく学術的な根拠はなく、「ほんまかいな」と思うようなところもある。
だが、やはりこの人の本は、読んだ後にポジティブになれる。
「よし!がんばろう!」と言いたくなる。
そういう意味では、これは素晴らしい「自己啓発本」なのだと思う。
筆者は、「『暗い努力』はやめて『明るい努力』をしろ」という。
「暗い努力」は、ただ苦しいだけの努力、自分を信じない中での努力、ネガティブな感情が含まれた努力。
「明るい努力」は、結果に重きをおいた努力、方法論があり、自分を信じられる中での努力、例えば周りと励ましあうような努力。
結果として成果がでるのも「明るい努力」だそう。
自分自身の経験を振り返ってみても、確かにそうなのかな、と思い当ることが。
私は大学受験に失敗した。
あの時の努力は、ネガティブな努力だった。
志望校に行けるかいけないか、微妙なライン。
いくら勉強しても成績はだんだん伸び悩んだ。
「この勉強の仕方しかないのかな?」
そんな言葉が心に浮かんでも
余裕がないので、「努力」を続けるのみ。
結果、第一志望の大学に落ち、
ついにはA判定が出ていた第二志望の大学にも落ちた。
一方、滑り止めで受かった大学に入学した後の人生は好調だった。
ひょんなきっかけで参加した学内の学術コンテスト。
自分が最も興味のあるテーマを大学二年の夏休みに延々と調べた。
大学の先生から推薦をもらったというプレッシャーに負けそうになり
泣いていた記憶もあるけど、
なにより先生が推薦してくれたことで、自信がついた。
「このまま頑張れば、きっと誰かが認めてくれる成果はでるかもしれない。」
そう思って毎日少しわくわくしながら研究をしていた。
結果、そのコンテストで優勝した。
あとは大学院受験、そして修士論文。
いずれも、決して自信があったわけではないけど、
ゴールにたどり着く、方法論はわかっていた。
「この本を読めば大丈夫」
「ここのポイントを押さえていれば大丈夫だろう」
過去の受験問題の傾向や他人が書いた修士論文を読んで
自分がやるべきことが何となくわかっていた。
いずれも途方に暮れて泣いた覚えはあるのだが。。。
「耐えるだけの努力はやめろ」
なんとなく、うなづいてしまう。
「努力すればどうにかなる!」そんな言葉を聞き飽きてきた人、
ちょっと努力につかれてしまった人に、おすすめの一冊です。